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東京地方裁判所 昭和54年(特わ)2109号 判決

本店所在地

東京都荒川区荒川二丁目四番四号

ストロングスリッパ工業有限会社

(右代表者代表取締役 平岩宏司)

本籍

東京都荒川区荒川二丁目四番地

住居

東京都江東区大島六丁目一番五の一三一四

会社役員

平岩宏治

昭和一五年四月一日生

右両名に対する法人税法違反被告事件につき、当裁判所は検察官八代宏出席のうえ審理し、次のとおり判決する。

主文

被告会社ストロングスリッパ工業有限会社を罰金一、〇〇〇万円に

被告人平岩宏司を懲役一〇月に

それぞれ処する。

被告人平岩宏司に対し、この裁判確定の日から三年間右懲役刑の執行を猶予する。

理由

(罪となるべき事実)

被告会社ストロングスリッパ工業有限会社は、東京都荒川区荒川二丁目四番四号に本店を置き、スリッパの製造販売を目的とする資本金一、五五〇万円(昭和五二年二月一四日以前の資本金は五〇万円)の有限会社であり、被告人平岩宏司は、被告会社の代表取締役として同会社の業務全般を統括しているものであるが、被告人平岩は、被告会社の業務に関し、法人税を免れようと企て、架空仕入を計上するなどの方法により所得を秘匿したうえ

第一  昭和五〇年九月一日から同五一年八月三一日までの事業年度における被告会社の実際所得金額が六〇、六九三、七五〇円(別紙(一)修正損益計算書参照)あったのにかかわらず、同五一年一〇月三一日、東京都荒川区西日暮里六丁目七番二号所在の所轄荒川税務署において、同税務署長に対し、その所得金額が三〇、七一三、五四四円でこれに対する法人税が一一、三〇三、九〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もって不正の行為により同会社の右事業年度における正規の法人税額二三、二九五、九〇〇円(税額の算定は別紙(四)税額計算書参照)と右申告税額との差額一一、九九二、〇〇〇円を免れ

第二  昭和五一年九月一日から同五二年八月三一日までの事業年度における被告会社の実際所得金額が八九、八三七、三六八円(別紙(二)修正損益計算書参照)あったのにかかわらず、同五二年一〇月二九日、前記荒川税務署において、同税務署長に対し、その所得金額が三七、〇六八、一四四円でこれに対する法人税額が一三、九〇六、四〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出してそのまま法定納期限を徒過させ、もって不正の行為により同会社の右事業年度における正規の法人税額三四、九一四、〇〇〇円と右申告税額との差額二一、一〇七、六〇〇円(税額の算定は別紙(四)税額計算書参照)を免れ

第三  昭和五二年九月一日から同五三年八月三一日までの事業年度における被告会社の実際所得金額が七四、五八七、五一一円(別紙(三)修正損益計算書参照)あったのにかかわらず、同五三年一〇月三一日、前記荒川税務署において、同税務署長に対し、その所得金額が四五、七四一、〇一五円でこれに対する法人税額が一七、一七〇、一〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もって不正の行為により同会社の右事業年度における正規の法人税額二八、七〇八、五〇〇円と右申告税額との差額一一、五三八、四〇〇円(税額の算定は別紙(四)税額計算書参照)を免れ

たものである。

(証拠の標目)

判示全体の事実につき

一、被告人の当公判廷における供述及び検察官に対する供述調書(三通)

一、平岩和子の検察官に対する供述調書

一、被告人作成の証明書(商業登記簿謄本添付)

別紙(一)ないし(三)の修正損益計算書に掲げる各勘定科目別当期増減金額欄記載の数額について

<〈1〉につき>

一、大蔵事務官作成の売上除外総括報告書

<〈2〉〈3〉〈4〉〈6〉〈18〉〈19〉につき>

一、大蔵事務官作成の棚卸高調査書

<〈5〉につき>

一、大蔵事務官作成の架空仕入総括調査書

<〈14〉につき>

一、検察事務官作成の捜査報告書(甲一の5)

<〈15〉につき>

一、検察事務官作成の捜査報告書(甲一の6)

<〈17〉につき>

一、検察事務官作成の捜査報告書(甲一の5、7)

一、大蔵事務官作成の証明書

<〈20〉につき>

一、大蔵事務官作成の棚卸高調査書

一、押収してある昭和五三年八月期法人税確定申告書及び昭和五二年八月期修正申告書各一袋(昭和五四年押第一五五三号の三及び五)

<〈22〉〈39〉につき>

一、大蔵事務官作成の簿外経費調査書

<〈25〉につき>

一、大蔵事務官作成の簿外経費調査書及び交際費否認調査書

<〈36〉につき>

一、検察事務官作成の捜査報告書(甲一の11)

<〈38〉につき>

一、押収してある昭和五一年八月期法人税確定申告書及び昭和五〇年八月期法人税修正申告書各一袋(前同押号の一及び四)

<〈41〉につき>

一、大蔵事務官作成の受取利息調査書

<〈42〉につき>

一、大蔵事務官作成の雑収入(合計)調査書、雑収入(貸倒回収金)調査書、雑収入(手形割引料、貸付金利息)調査書及び雑収入(平岩育子管理分)調査書

<〈43〉につき>

一、大蔵事務官作成の受取配当金調査書

<〈44〉につき>

一、大蔵事務官作成の支払利息調査書

<〈45〉〈46〉につき>

一、大蔵事務官作成の証明書

一、押収してある昭和五一年八月期、五二年八月期、五三年八月期各法人税確定申告書及び昭和五〇年八月期法人税修正申告書計四袋(前同押号の一ないし四)

<〈48〉につき>

一、大蔵事務官作成の棚卸高調査書

一、押収してある昭和五一年八月期法人税確定申告書及び昭和五〇年八月期法人税修正申告書各一袋(前同押号の一、四)

<〈50〉につき>

一、大蔵事務官作成の事業税調査書

<〈51〉につき>

一、大蔵事務官作成の債権償却特別勘定調査書

別紙(一)ないし(三)の修正損益計算書に掲げた公表金額及び過少申告の事実について

一、押収してある昭和五一年八月期、五二年八月期、五三年八月期各法人税確定申告書計三袋(前同押号の一ないし三)

(法令の適用)

被告会社につき

いずれも法人税法一五九条、一六四条一項。刑法四五条前段、四八条二項

被告人につき

いずれも法人税法一五九条(いずれも懲役刑選択)。刑法四五条前段、四七条本文、一〇条(犯情の重い判示第二の罪の刑に法定の加重)。同法二五条一項。

よって、主文のとおり判決する。

(裁判官 須田贒)

別紙(一)

修正損益計算書

ストロングスリッパ工業有限会社

自 昭和50年9月1日

至 昭和51年8月31日

〈省略〉

〈省略〉

別紙(二)

修正損益計算書

ストロングスリッパ工業有限会社

自 昭和51年9月1日

至 昭和52年8月31日

〈省略〉

〈省略〉

別紙(三)

修正損益計算書

ストロングスリッパ工業有限会社

自 昭和52年9月1日

至 昭和53年8月31日

〈省略〉

〈省略〉

別紙(四)

税額計算書

ストロングスッパ工業有限会社

(1) 自 昭和50年9月1日

至 〃51年8月31日

〈省略〉

(2) 自 昭和51年9月1日

至 〃52年8月31日

〈省略〉

(3) 自 昭和52年9月1日

至 昭和53年8月31日

〈省略〉

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